【薬膳による対策】薬膳における熱中症予防
※この記事は受講生様向けです
薬膳の視点で「熱中症の予防」の要点をざっと書きます。
水分を摂るだけでは予防は難しい
まず熱中症予防の基本は水分を摂ることです。
これは間違いないのですが、中医薬膳の視点でみればこれだけでは不十分と言わざるを得ません。
なぜなら飲んだ水がすべて吸収されるとは限らないからです。
水が吸収されてこそ体は潤います。体がしっかり潤うことで過剰な熱や体の炎症、機能の異常亢進を防ぐことができるわけです。
すべては吸収まで意識する
特に熱中症予防においては、吸収まで意識することが重要でしょう。
薬膳では生津、補陰、滋陰、止渇の食べ物で体に潤いをチャージします。
※経口補水液も有効だと思います。(水、塩、砂糖で手作り可。市販品もあり)
そしてこの異常な高温に対処するために解暑、清熱、寒涼性の食べ物で体の余分な熱を取り除きましょう。これも熱中症の予防をアシストします。
具体的な食べ物を挙げますが、詳細はテキストをご参照ください。
生津、補陰の食物
白木耳 豆腐 おくら トマト 大根 ズッキーニ プラム りんご 梅 梨 レモン ヨーグルト…など
解暑、清熱の食物
緑豆 ゴーヤ すいか パイナップル ココナツウォーター メロン ハイビスカス…など
巡らない水は使えない
そしてもうひとつ意識したいのが「水の循環」です。
どんなに水を飲んでも、水が全身(頭のてっぺんから足のつま先まで)に分配されなければ、体の水不足は解消されません。
中医学では水の代謝には脾・肺・腎が深く関わり、三焦を通して気や津液が巡るとされます。
何らかの原因で臓腑の働きが低下すると、津液の生成と代謝に異常が起こります。
すると、津液が不足する一方で水が流れず不要な場所に停滞するという“水の偏在”が起こるわけです。
その結果、喉や口が渇く、ほてり、動悸、めまい、頭痛、吐き気、むくみ、尿量減少などの症状が出やすくなります。
これを防ぐには利水、化湿、滲湿の食べものを積極的に使うことです。(←五苓散的発想)
※ただし血瘀証の方は瘀血のために津液が巡らないことがあります。また津液を循環させるのは気です。気血の巡りと津液の巡りは密接に関わっているため、血瘀タイプや気滞タイプの方はこちらの対策も合わせて考える必要があります。
利水の食べものを一部挙げますが、こちらもテキストをご参照ください。
利水の食物
きゅうり 冬瓜 白瓜 夕顔 なす とうもろこし とうもろこしのひげ メロン 小豆 ハトムギ 海苔 昆布 あさり 烏龍茶…など
熱証、血瘀、脾虚、腎虚は要注意
熱中症も広い意味では陰陽バランスの崩れと言えます。さらに脾・肺・腎の弱りや瘀血の存在なども熱中症の遠因となります。
実際には様々な要素が複合しますが、特に実熱タイプ、陰虚タイプの人は今の時期はしっかり自分をフォローしてあげてくださいね。
熱を生む食べ物、アルコール類、体を乾燥させるものは、今の時期は極力控えた方が良いでしょう。
では皆さま、暑い日が続きますがどうぞお元気でお過ごしください(^^)/~